交通事故で視力が低下|認定される後遺障害等級と慰謝料の目安

交通事故で視力が低下した場合

交通事故で頭部に強い衝撃を受けた場合、視力低下などの目に関する障害が残る可能性があります。

交通事故を原因とする目の障害については、後遺障害等級認定を受けることで、高額の慰謝料請求の対象となりますので、弁護士にご相談のうえで正当な請求を行いましょう。

この記事では、交通事故による視力低下その他の目の障害に関して、認定される後遺障害等級と慰謝料の目安を解説します。

交通事故による視力低下について認定される後遺障害等級

交通事故が原因で視力が恒久的に低下した場合、その程度に応じて、以下の後遺障害等級が認定されます。

後遺障害等級後遺障害の内容
第1級両眼を失明した場合
第2級1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になった場合
両眼の視力が0.02以下になった場合
第3級1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になった場合
第4級両眼の視力が0.06以下になった場合
第5級1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になった場合
第6級両眼の視力が0.1以下になった場合
第7級1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になった場合
第8級1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になった場合
第9級両眼の視力が0.6以下になった場合
1眼の視力が0.06以下になった場合
第10級1眼の視力が0.1以下になった場合
第13級1眼の視力が0.6以下になった場合
視力障害の後遺障害等級

なお、視力障害は原則として、矯正視力を基準として認定されます。
つまり、交通事故によって1眼の裸眼視力が0.6以下になったとしても、矯正によって0.6を上回ることができるならば、後遺障害等級認定の対象とはなりません。

チェックポイント
もともとの矯正視力が低い場合には、支払われる後遺障害慰謝料の金額が減額されることがあります。

たとえば、矯正視力(右目)が0.5だった方が、交通事故によって0.1まで低下したとします。

この場合、もともと第13級相当の既存障害があったところ、第10級相当まで矯正視力が悪化したことになりますので、支払われる後遺障害慰謝料は第10級と第13級の差額に留まります。

視力低下以外に、後遺障害等級が認定される目の障害

視力障害以外に、交通事故によって目に生じる可能性のある後遺障害としては、「調節機能障害」「運動障害」「視野障害」「まぶたの障害」の4つが挙げられます。

それぞれ、症状別の後遺障害等級は以下のとおりです。

調節機能障害

調節機能障害とは、目のピントを合わせづらくなった状態をいいます。

後遺障害等級後遺障害の内容
第11級両眼の眼球に著しい調節機能障害を残す場合
第12級1眼の眼球に著しい調節機能障害を残す場合
調節機能障害の後遺障害等級

運動障害

運動障害とは、眼球が動きづらくなった結果、注視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする状態をいいます。

後遺障害等級後遺障害の内容
第10級正面を見たときに複視の症状を残す場合
第11級両眼の眼球に著しい運動障害(注視野2分の1以下)を残す場合
第12級1眼の眼球に著しい運動障害(注視野2分の1以下)を残す場合
第13級正面以外を見たときに複視の症状を残す場合
運動障害の後遺障害等級

視野障害

視野障害とは、半盲症・視野狭さく・視野変状が原因で、正常な視野の60%以下に視野が狭まってしまった状態をいいます。

後遺障害等級後遺障害の内容
第9級両眼に半盲症、視野狭さく、または視野変状を残す場合
第13級1眼に半盲症、視野狭さく、または視野変状を残す場合
視野障害の後遺障害等級

まぶたの障害

まぶたの障害には、まぶたが欠けたり、動きにくくなったりした状態が含まれます。

後遺障害等級後遺障害の内容
第9級両眼のまぶたに著しい欠損を残す場合
第11級1眼のまぶたに著しい欠損を残す場合
両眼のまぶたに著しい運動障害を残す場合
第12級両眼のまぶたに著しい運動障害を残す場合
第13級両眼のまぶたの一部に欠損を残し、または、まつげはげを残す場合
第14級1眼のまぶたの一部に欠損を残し、または、まつげはげを残す場合
まぶたの障害の後遺障害等級

等級別:目の障害に係る後遺障害慰謝料の目安

交通事故によって生じた目の障害について、被害者が補償を受けるべき後遺障害慰謝料の目安は、等級ごとに以下の表のとおりです。

後遺障害等級後遺障害慰謝料
第1級2,800万円
第2級2,370万円
第3級1,990万円
第4級1,670万円
第5級1,400万円
第6級1,180万円
第7級1,000万円
第8級830万円
第9級690万円
第10級550万円
第11級420万円
第12級290万円
第13級180万円
第14級110万円
後遺障害慰謝料の目安

チェックポイント
上記は「弁護士基準(または裁判所基準)」と呼ばれる、裁判例に基づく基準によって計算された金額です。
しかし実際には、加害者側の任意保険会社は、「任意保険基準」と呼ばれる被害者にとって不利な基準を用いて慰謝料額を計算・提案してくる可能性があります。

弁護士にご相談いただければ、あくまでも被害者の法律上の権利に基づき、弁護士基準をベースとした正当な請求を行います。

まとめ

交通事故によって目の障害を負った場合、日常生活にたいへん大きな不便が生じてしまいます。
被害者ご自身が受けた苦痛を少しでも埋め合わせるため、加害者側に対して後遺障害慰謝料を含めた正当な請求を行いましょう。

交通事故による目の障害にお悩みの方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。