過失割合10対0の交通事故例・被害者側の注意点

ご自身に全く落ち度がないにもかかわらず、交通事故に巻き込まれてしまった場合、被害者にとっては大変に気の毒な事態です。
このような交通事故は「過失割合10対0」と表現され、被害者は加害者に対して、損害の全額を賠償するよう請求できます。

過失割合10対0の交通事故では、示談交渉の際に特有の注意点があるため、一度弁護士までご相談ください。

今回は、過失割合が10対0となる交通事故の具体例と、被害者が示談交渉に臨む際の注意点などを解説します。

過失割合10対0の交通事故の具体例

過失割合が10対0となるのは、被害者に道路交通法違反などの落ち度が全くない場合です。

「自動車同士」「自動車対自転車」「自動車対歩行者」の3つに分けて、過失割合10対0の交通事故の具体例を紹介します。

自動車同士の交通事故

過失割合が10対0となる自動車同士の交通事故としては、以下の例が挙げられます。

・路肩や駐車スペースに停車していた被害車両に、加害車両が追突した場合
・センターラインを越えて走行中の加害車両が、対向する被害車両と衝突した場合
・加害車両が赤信号を無視して交差点に進入し、被害車両と衝突した場合

自動車対自転車の交通事故

過失割合が10対0となる自動車対自転車の交通事故としては、以下の例が挙げられます。

・先行する自転車を加害車両が追い越しつつ左折する際に、自転車を巻き込む形で衝突した場合
・センターラインを越えて走行中の自動車が、対向する自転車と衝突した場合
・自動車が赤信号を無視して交差点に進入し、自転車と衝突した場合

自動車対歩行者の交通事故

過失割合が10対0となる自動車対歩行者の交通事故としては、以下の例が挙げられます。

・横断歩道(信号なしまたは青信号)を通行中の歩行者と、自動車が衝突した場合
・歩道上を通行中の歩行者と、自動車が衝突した場合
・歩車道の区別がない道路の右側を通行中の歩行者と、自動車が衝突した場合

チェックポイント

交通事故の過失割合を決定する際には、実務上「別冊判例タイムズ38号」が参照されています。

参考:別冊判例タイムズ38号 (民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)|Amazon

「別冊判例タイムズ38号」では、事故の類型ごとに、ベースとなる過失割合がまとめられています。

ただし、「別冊判例タイムズ38号」の基準が画一的に適用されるわけではなく、個別の事情によって調整が加わる可能性があるほか、類型に当てはまらない交通事故については、裁判例に基づく個別検討が必要です。

過失割合10対0の場合、被害者側の任意保険会社は示談交渉に参加不可

過失割合10対0の交通事故の場合、被害者は、自ら加入している任意保険会社に示談交渉を任せることができません。

被害者側の過失がない場合、被害者側の任意保険会社は保険金の支払い義務を負いません。

この場合、被害者側の任意保険会社から見ると、交通事故の示談交渉は「自らが当事者ではない法律事件の代理」という整理になります。

自らが当事者ではない法律事件について代理業務を行うことは、弁護士法72条により、原則として弁護士にしか認められません。

したがって、過失割合10対0のケースでは、被害者側の任意保険会社は、被害者に代わって示談交渉を担当することができないのです。

もっとも、そのような場合でも「弁護士費用特約」が付いていれば、通常の事件では弁護士費用を負担することがなく弁護士に交渉を依頼することが可能です(「弁護士費用特約」の弁護士費用は300万円を限度とされていることが多く、300万円を超えるような事件については、自己負担が発生しますが、そのような高額な弁護士費用が発生するのは死亡事故などの重大な交通事故事案です。通常の事件では弁護士費用は300万円以下にとどまるのが一般ですので、自己負担は発生しないのが一般です。ただし、弁護士費用特約の費用基準よりも担当弁護士の費用基準の方が高い場合には、担当弁護士に差額の弁護士費用を支払うように言われる可能性もないわけではありません。)。

現在は弁護士費用特約が付いている保険契約も多く、対象も広かったりしますので、弁護士費用特約が付いているかどうかを自分の保険の保険会社に確認された方がよいです。

チェックポイント

任意保険会社に示談交渉を任せられないとすれば、被害者自身で示談交渉を行うか、または弁護士に示談交渉を任せるかのいずれかを選択することになります。そして、「弁護士費用特約」が付いていれば、通常の事件であれば実質自己負担なしで弁護士に依頼することが可能です。

この点、被害者自身で加害者側の任意保険会社と示談交渉を行う場合、裁判例等の水準を下回る保険金額を提示されるケースが少なくありません。

これは、支払う保険金額を抑える観点から、任意保険会社が独自の基準によって保険金額を算出しているためです(任意保険基準)。

被害者は本来、裁判例に基づく適正妥当な額の保険金を受け取る権利があります。

加害者側の任意保険会社の主張に惑わされないためにも、弁護士にご相談のうえで示談交渉に臨むことをお勧めいたします。

まとめ

過失割合10対0の交通事故では、被害者は加害者に対して、損害全額の賠償を請求できます。

ただし過失割合が10対0の場合、被害者が加入している任意保険会社に示談交渉を任せることはできないため、弁護士へのご依頼を推奨いたします。

弁護士にご相談いただければ、裁判例に基づいて適正な損害額を算定し、被害者の方が正当な補償を受けられるようにサポートいたします。

交通事故の被害に遭ってしまった方は、お早めに弁護士までご相談ください。